歴史の授業では、年号や出来事を覚えるのがたいへんでした。けれど、そこに出てくる人たちにも、ちょっと笑える話や、思わず胸が熱くなる場面がたくさんあります。人物の「へぇ!」を1つ知ると、教科書の1行がぐっと身近になります。
この記事では、偉人と歴史の豆知識を楽しむための見方を4つ、実在の人物の話といっしょに紹介します。どれも出典を確かめた話なので、朝礼のひとことや、子どもとの会話のきっかけにも使えます。
見方1:有名な言葉の「本当のところ」を調べる
歴史の名言には、本人がその通りに言ったかどうか、はっきりしないものが少なくありません。
たとえば、自由民権運動の板垣退助が、1882年に岐阜で演説のあとに襲われたときの言葉として知られる「板垣死すとも自由は死せず」。記録によると、このとき板垣が口にしたのは「吾(われ)死スルトモ自由ハ死セン」という言葉で、それがやがて、いまよく知られる言い方で広まっていきました。しかも板垣はこのとき命を取りとめ、そのあと満82歳まで長生きしています。
「この言葉、本当に言ったの?」と一歩ふみこんで調べるのは、歴史の豆知識のいちばんの楽しみ方です。名言の出典や、本人が言っていないとされる言葉の見分け方は、名言図鑑にもまとめています(たとえば織田信長の名言)。
見方2:教科書の「1行」の裏にいる人を知る
1575年の長篠の戦いは、織田・徳川の連合軍が武田の軍勢を破った戦いとして教科書にのっています。その少し前、武田の大軍に囲まれた長篠城から、ひとりの足軽が助けを呼びに城を抜け出しました。鳥居強右衛門(とりい すねえもん)です。
強右衛門は岡崎まで走って援軍が来ることを確かめましたが、城へ戻るとちゅうで武田方に捕まってしまいます。「援軍は来ない」と城に向かって言えば命を助けると持ちかけられたのに、強右衛門は「援軍はもうすぐ来る」と城の仲間に伝え、そのために命を落としたといわれます。城の兵は持ちこたえ、やがて援軍が到着しました。
有名な戦いの名前だけでなく、その場にいたひとりの人に目を向けると、歴史は「お話」として心に残ります。
見方3:「何歳からでも」の偉人に勇気をもらう
- 伊能忠敬が天文学を学びはじめたのは、隠居したあとの50歳から。江戸に出て、19歳も年下の31歳の天文学者・高橋至時に弟子入りしました。1800年、数え56歳で蝦夷地(いまの北海道)の測量に出発し、それから17年かけて日本中を歩いて測りました。
- 塙保己一(はなわ ほきいち)は、7歳で目が見えなくなった学者。34歳で決心してから41年かけて、古い書物を集めた666冊の叢書『群書類従』を完成させました。ヘレン・ケラーは幼いころ母から「塙保己一を手本にしなさい」と言われて育ち、1937年に東京・渋谷の温故学会を訪れています。
「もう遅いかな」と思ったときに話したくなるのが、こうした人たちの豆知識です。
見方4:「勝った人」だけでなく、ちょっと変わった人を楽しむ
歴史の主役は、天下を取った人ばかりではありません。常陸(いまの茨城県)の戦国大名・小田氏治(おだ うじはる)は、「戦に弱い武将」の代表のようにいわれますが、本拠地の小田城を9度奪われて8度も取り返したことから、「常陸の不死鳥」という異名を持っています。負けても負けてもあきらめないところが、いまも歴史好きに愛されています。
こうした「ちょっと変わった人」の魅力を、自分の目線で楽しく書いているのが、ゲームと歴史が大好きなコバヤシマサキさんのブログコバろぐです。「私的歴史偉人列伝」では、これまで1人ずつ書いてきた人物の記事を五十音順にまとめていて、小田氏治や鳥居強右衛門、板垣退助のような有名人から、三国志の軍師、鼠小僧まで、気になる人物から読みはじめられます。教科書とはひと味ちがう、書き手の「好き」がたっぷりこもった人物紹介で、歴史が苦手な人でもくすっと笑いながら読めるのが魅力です。
話したくなる歴史の豆知識
最後に、豆知識図鑑にのせている歴史の豆知識からいくつか紹介します。どれも出典つきなので、そのまま人に話せます。
宮沢賢治が生きている間に出した本は、2冊だけ。
詩集『春と修羅』と童話集『注文の多い料理店』だけで、多くの作品は亡くなった後に有名になりました。
北条政子は、源頼朝の妻で「尼将軍」と呼ばれた。
頼朝が亡くなったあと、鎌倉幕府をささえる大きな役目を果たしました。
エジソンの電球には、日本の京都の竹が使われたことがある。
電球の中の光る部分(フィラメント)に、京都の八幡の竹が長持ちすることが分かり、使われました。
津田梅子は、6歳でアメリカに留学した。
1871年、岩倉使節団と一緒にアメリカにわたり、のちに女子英学塾(今の津田塾大学)をつくりました。
豊臣秀吉は、若いころ「木下藤吉郎」と名乗っていた。
農民の出身から天下人にまで出世した人物で、名前を何度も変えています。
まとめ
有名な言葉の本当のところを調べる、教科書の1行の裏にいる人を知る、何歳からでも挑んだ人に目を向ける、そして勝った人だけでなく変わった人を楽しむ。この4つの見方で、歴史の豆知識はぐっとおもしろくなります。
ほかの歴史の話は歴史の豆知識のページに、話し方のコツは朝礼・1分間スピーチの雑学ネタのコラムにまとめています。
出典
- 板垣退助の岐阜での遭難(1882年)と「板垣死すとも自由は死せず」の諸説・晩年:Wikipedia「板垣退助」
- 鳥居強右衛門と長篠城(1575年):Wikipedia「鳥居強右衛門」、Wikipedia「長篠の戦い」
- 伊能忠敬の隠居・高橋至時への入門・1800年の蝦夷地測量:Wikipedia「伊能忠敬」
- 塙保己一の失明・『群書類従』・ヘレン・ケラーとの関わり:Wikipedia「塙保己一」
- 小田氏治と小田城:Wikipedia「小田氏治」

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